プレート境界で発生する「海溝型地震」についてはかなり明確な前兆があることが分かりました。地震解析の第3回では内陸プレートで発生する「活断層型地震」について、過去起きた大地震のデータを検証します。一般的に活断層型地震は予測が困難らしいので、本当に前兆がないのか(予測不可能なのか)を見てみます。
前回は海溝型地震について検証し、海溝型地震には前兆となる大きな地震があること・環太平洋地域で地震活動が活発な時にはどこで大地震が起きてもおかしくないことが分かりました。
今回は予測が困難といわれる活断層型地震について過去のデータを検証してみます。
昨年の今頃の3か月間のデータを「平時」として比較のベースラインにします。
一見、世界的には日本~台湾~ニュージーランドに至る環太平洋西側の地震活動が活発になっているように見えますが、比較対象の「平時」とほぼ同程度ですかね。
ただ、日本にフォーカスしてみると阪神地域に前兆はなさそうに見えます。むしろ、東北沖に地震が集中しており、日本近海に限ると東日本大震災の前兆と酷似しています。あと、北海道の根室沖にも地震の密集が見られます。いずれにしろ、阪神淡路大震災の前兆はなさそうです。
世界的な地震活動は先ほどの阪神淡路同様、環太平洋西部で地震活動が活発になっています。加えて、南米やハワイのあたりでも大きめの地震が発生していました。
ただ、日本にフォーカスすると目立った前兆は見られないですね。。
日本にフォーカスしても熊本地震を連想させるような前兆はなさそうです。むしろ、十勝沖地震を連想しそうですね。
ハイチ近郊にフォーカスしても特に前兆はなさそうです。
※地図の真ん中の「つ」みたいな形の島の西側がハイチです。
※ハイチの東に浮かぶプエルトリコで地震が多く出ていますが、この地震の量・大きさは「平時」と同様です。
プレート境界で起きる海溝型地震は、陸側と海側のプレートが「面」で接するという特徴ゆえにひずみが境界面の各所で前震・本震・余震として発生するのに対し、地殻内でたまったひずみが断層運動として一気に解放される活断層型地震は溜まり溜まった歪みのエネルギーが一撃必殺的に開放されるので、予兆がないのかもしれないということがデータで裏付けられたように思います。
今年のGWの取り組みとして今からやってみようと思います!(四六時中子どもたちと一緒にいるのでどこまでできるかは微妙。。)
前回までの振り返りと今回の取り組み
「最近地震多くない?」というアバウトな直感で始めたのですが、世界的にはそこまでマグニチュードの大きな地震は起きていなさそうでした。なので、過去起こった大地震について、海溝型地震と活断層型地震に分けて前兆がなかったのか検証してみることにしました。前回は海溝型地震について検証し、海溝型地震には前兆となる大きな地震があること・環太平洋地域で地震活動が活発な時にはどこで大地震が起きてもおかしくないことが分かりました。
今回は予測が困難といわれる活断層型地震について過去のデータを検証してみます。
データで見る活断層型地震発生前夜
前回同様、アメリカの地質調査所(USGS)のオープンデータを使って大地震が発生する直前3か月(地震発生日の前日から3か月)のデータをTableauで見える化してみます。昨年の今頃の3か月間のデータを「平時」として比較のベースラインにします。
過去の活断層型地震:日本
阪神淡路大震災(1995.1.17)
日本で起こった活断層型地震の代表格が阪神淡路大震災です。直前に地下水の濁りや網にかかる魚の異常などが見られたそうですが、前兆となる地震はなかったそうです。一見、世界的には日本~台湾~ニュージーランドに至る環太平洋西側の地震活動が活発になっているように見えますが、比較対象の「平時」とほぼ同程度ですかね。
ただ、日本にフォーカスしてみると阪神地域に前兆はなさそうに見えます。むしろ、東北沖に地震が集中しており、日本近海に限ると東日本大震災の前兆と酷似しています。あと、北海道の根室沖にも地震の密集が見られます。いずれにしろ、阪神淡路大震災の前兆はなさそうです。
大阪北部地震(2018.6.18)
続いて2018年の大阪北部地震です。世界的な地震活動は先ほどの阪神淡路同様、環太平洋西部で地震活動が活発になっています。加えて、南米やハワイのあたりでも大きめの地震が発生していました。
ただ、日本にフォーカスすると目立った前兆は見られないですね。。
熊本地震(2016.4.14)
お次は地震リスクは比較的小さいと思われていた九州で突如発生した熊本地震です。これも活断層型地震だったそうです。
世界的には「平時」とあまり変わらんですね。。日本にフォーカスしても熊本地震を連想させるような前兆はなさそうです。むしろ、十勝沖地震を連想しそうですね。
過去の活断層型地震:日本以外
四川大地震(2008.5.12)
続いて海外で発生した大規模な活断層型地震についてみていきます。まずは2008年に中国で発生したM7.9の四川大地震です。
日本の太平洋沖・フィリピン沖・スマトラ沖で海溝型地震がいくつか起きていますが、中国本土には前兆はなさそうです。嵐の前の静けさ感がありますね。
ハイチ地震(2010.1.12)
最後は2010年に起きたM7.0のハイチ地震です。日本~台湾~インドネシア~ニュージーランドあたりの環太平洋西側は地震活動が活発ですね。特にニュージーランド沖がいつになく活発に見えます。一方で、カリブ海に浮かぶハイチに近い中米~南米の環太平洋東側は穏やかに見えます。ハイチ近郊にフォーカスしても特に前兆はなさそうです。
※地図の真ん中の「つ」みたいな形の島の西側がハイチです。
※ハイチの東に浮かぶプエルトリコで地震が多く出ていますが、この地震の量・大きさは「平時」と同様です。
活断層型地震のまとめ
今回は歴史的に規模(マグニチュード)の大きかった活断層型地震について、本震が発生した当日を除く直前3か月間の地震発生状況を見てきました。全体を通して分かった大きな特徴は「マジで前兆がない!」です。プレート境界で起きる海溝型地震は、陸側と海側のプレートが「面」で接するという特徴ゆえにひずみが境界面の各所で前震・本震・余震として発生するのに対し、地殻内でたまったひずみが断層運動として一気に解放される活断層型地震は溜まり溜まった歪みのエネルギーが一撃必殺的に開放されるので、予兆がないのかもしれないということがデータで裏付けられたように思います。
今後の展望
すくなくとも、海溝型地震についてはある程度明確な前兆があることが分かったので、過去のデータから地震の起こりやすさを機械学習でモデル化できそうです。なので、こんな感じで進めてみようかなと思っています。- 過去の地震のデータ(100年分くらい?)を時系列的に放り込んで地震の起こりやすさを弾き出すモデルを機械学習で作ってみる。(過去のデータから、過去の地震の起こりやすさを当てるようなモデルを作ってみる)
- モデルの精度を測定する。(ここが大きなポイント。使い物にならない可能性も高そう。。)
- (もしそれらしいモデルができたら)最近の地震データを放り込んで当たるか検証する。(2020年4月までのデータでモデルを作って、5月のデータを入れて実際当たったかを検証する&今後起きそうな場所を推定する)
今年のGWの取り組みとして今からやってみようと思います!(四六時中子どもたちと一緒にいるのでどこまでできるかは微妙。。)