スキップしてメイン コンテンツに移動

『深層学習 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)』岡谷 貴之 ☆4

ディープラーニングの理論を分かりやすく解説した本。複数の入力を受け取って1つの出力を返すパーセプトロンに始まり、現在のディープラーニングのブレイクスルーのきっかけになった制限ボルツマンマシンまで概念と理論を学ぶことができます。機械学習の理論をごまかさずに数式で説明しきることがコンセプトですが、数学が苦手でもおおよその概念は把握できるのです。サンプルコードが無料ダウンロードできるので、動かしながら学べるのもよいです。

↑気になったらここからポチっと↑

見よう見まねで機械学習をやってきたので、きちんと理論を(概要レベルでもいいから)理解しておこうと思い、読みました。
ちなみに、パーセプトロンやニューラルネットワークの基本概念はこちらでまとめています。

この本を読むとわかること

順伝播型ネットワーク(Feedforward neural network)

順伝播型ネットワークとは、「複数のパーセプトロンで構成される多層パーセプトロンを1方向に進んでいくネットワークモデル」です。順伝播ネットワークの考え方に加えて、各パーセプトロンの出力を一定にするための活性化関数としてシグモイド関数やソフトマックス関数なども解説されています。

確率的勾配降下法(Gradient descent method)

なにやら難しい名前ですが、「パーセプトロンへの入力に掛け合わせる重みを一定値(学習係数:Learning rate)ごとに減らしていき、最適値を探索する手法」のことです。パラメータを変えながら最適解に到達するまで降りていくので勾配降下法という名前になっています。ボコボコ凹んだ容器にボールを入れてゆすっていると一番下に落ちるイメージです。具体的には、訓練データにおける誤差・モデルの検証用データにおける誤差を最小化するのですが、その過程を数式を使って説明しています。

また、モデルが訓練データに最適化され予測精度が低下する過学習(Over-fitting)や、過学習を防ぐための正則化とドロップアウトという手法、データが少なく精度が出ない際に行うデータ拡張という手持ちのデータを数学的に増やす手法についても解説されています。

誤差逆伝播法(Back propagation)

順伝播型ネットワークの勾配計算は後ろのパーセプトロンに行くほど前の層の出力値が蓄積されていきます。言い換えると、前の層の活性化関数が入れ子になって引き継がれていきます。そのため、階層が深いネットワークほど勾配計算の計算量が増大してしまうのです。この課題を解決し、効率的に計算を行う手法である誤差逆伝播法について丁寧に解説されています。「前から行くのが大変なら後ろから遡ればいいじゃない」というコロンブスの卵的な手法なのです。

自己符号化器(Autoencoder)

自己符号化器とは、「訓練データを使った教師なし学習においてデータの特徴を適切に抽出することで、より良いモデルを作るニューラルネットワークのこと」です。うん、何を言っているかよく分からないですね。簡単に言うと、順伝播型ネットワークの出力を入力にして、もとの入力を再現する順伝播型ネットワークのことです。順伝播型ネットワークを折り返したものをイメージすればよいです。

入力x1,x2,x3・・・に対する出力y1,y2,3・・・を計算して、それをもう一度順伝播型ネットワークに入れてx'1,x'2,x'3・・・を出力させ、xとx'の乖離を小さくすることを目指します。出力データから入力データを再現するモデルを作って再現度が高ければ予測精度も高いだろうということです。概念自体はなんとなく分かりますが、どうやって効率よく計算するかのテクニックが解説されています。

畳込みニューラルネット(Convolutional neural network)

畳込みニューラルネットとは、「画像認識に利用される順伝播型ネットワークであり、隣接層のパーセプトロン全てとつながるのではなく、隣接層の特定のノードとのみリンクするネットワーク」です。これまで見てきたニューラルネットワークは1つのパーセプトロンが前の層・後ろの層のパーセプトロン全てとリンクするモデルでした。畳込みニューラルネットでは、1つのパーセプトロンが前後の層のパーセプトロン全てとリンクするわけではないというのが特徴です。

これは脳の視覚野の画像認識を模倣した仕組みです。学生時代に視覚の研究していた(知覚心理学みたいなものが専門でした)ことを思い出しながら書いてみると、脳の一次視覚野(Visual area 1なのでV1と呼ばれる)には、縦・横・斜めなど特定の線分に反応するニューロンがあります。縦棒を見ると縦専門のニューロンだけが反応して縦線であることを知覚します(本当はV1以降のV2~V5で検知した図形の統合だったり色の認識だったりを統合していますが割愛します)。この性質を機械で実現するには特定のパーセプトロンとのみリンクを持たない畳込みニューラルネットを使うのが便利なのです。

この章では、畳込み層と畳込み層からの出力を入力として強弱をつけるプーリング層を組み合わせた畳込みニューラルネットの実装方法勾配効果法を使った畳込み層の最適化手法について説明されています。

再帰型ニューラルネット(Recurrent neural network)

再帰型ニューラルネットとは、途中まで読んだ文章の単語から次の単語を推測するように、「時系列の入力値を基に次の値を予測するモデル」です。単語間の依存性や文脈により言葉を予測する言語モデルとも呼ばれるそうです。文脈から推測するためには過去の入力値すべてを含めて判断する必要があり、そのあたりのモデルや考え方が解説されています。

ボルツマンマシン(Boltzmann machine)

ボルツマンマシンとは、「ノード間の結合が双方向性を持つニューラルネットワークで、ネットワークの挙動を確率論的に記述したもの」です。これまたよく分からないですね。これまでのニューラルネットワークは階層構造でしたが、パーセプトロンが網目状につながっているものをイメージすればよいです(網目状につながっている=ノード間の結合が双方向性を持つ なのです)。

網状のボルツマンマシンをニューラルネットワークのように層状にしたものを制限ボルツマンマシンと呼びます。通常の順伝播型ネットワークにおいて、パーセプトロン間のリンクが双方向になったものをイメージすればよいです。この制限ボルツマンマシンが現在のディープラーニングにつながるブレイクスルーになったそうです。正直、このあたりは理解し切れていないので興味のある方は本書を読んでみてください。。

↓気になったらここからポチっと↓


関連情報

AI(機械学習)やってみた

AI(機械学習)関連書籍


ビッグデータ解析やってみた

ベストビュー(過去1カ月)

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編)【Day 4:卒業式】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。4 日目は卒業式本番です。とても賑やかでアメリカンな式典でした。ただしあいにくの雨、僕曇り男なのに。。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day0:渡米前にやっておくこと】

UMASS Lowellの卒業式@Bostonについて、計画の立て方やら行く前にやっておくことやらをまとめておきます。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day3:終日観光】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。3 日目は終日フリーなので、ゆっくりボストンを観光しました。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day2:晩餐会】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。 2日目は午前中はボストン観光、夕方から Hooding ceremonyという卒業生(大学院生)向けの晩餐会です。卒業式で被るHoodをもらいました。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day5:帰国】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。5 日目にして帰国なのです。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day1:ボストンへ】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。 1日目は移動だけで終わりました。

『動物たちのすごいワザを物理で解く』☆4

生物×物理という着眼点の面白い本。なぜヤモリは天井にへばりつけるのかや、百発百中のテッポウウオの視界、温かい生き物の血を吸う蚊の驚きの排熱メカニズムなど、生き物の不思議を物理の視点で解説してくれます。子どもにドヤ顔で話せるようになると思います。

【番外編】AI(機械学習)やってみた。【第3回】ソムリAI ~ニューラルネットワーク編~

AI(機械学習)やってみた、第3弾です。「ニューラルネットワーク(Neural Network)」を使ったソムリAIを作ってみようと思います。”ニューラルネットワーク”、見るからにAIっぽい名前ですよね。

『Python機械学習プログラミング 達人データサイエンティストによる理論と実践』 ☆5

これ1冊マスターすればそれなりに戦えるPython技術者になれます(きっと)。機械学習の基礎(パーセプトロンとか)とPythonの基本文法を覚えた後に読むのがよさそうです。

【番外編】AI(機械学習)やってみた。【第2回】ソムリAI ~ロジスティック回帰編~

AI(機械学習)やってみた、第2弾です。前回は決定木(Decision Tree)を使ったソムリAI(ワインソムリエAI)を作りました。今回は「ロジスティック回帰(Logistic Regression)」というモデルを使ったソムリAIを作ってみようと思います。

ベストビュー(全期間)

Malaysia Quarantine Premium Package 【番外編】Malaysia赴任記 隔離ホテル情報

Once entering Malaysia, we need to be quarantined for 14days. At the beginning of COVID-19 spread, the hotel for quarantine have been determined randomly. In these days, we can choose "premium quarantine stay package" in advance . This article is summary of premium packages which I asked each hotel. Note: Information in this article might be old. It's better to confirm the latest plan to the hotel. Note: Only Hotel Istana can be booked via its homepage so far. As the other hotels don't show their premium package plans on their homepage, you need to contact them through their reservation E-mail address or "Contact us". マレーシア入国とともに14日間ホテルで隔離されます。当初は滞在ホテルがランダムに割り振られていたようですが、より快適なプレミアムプランが追加されました。各ホテルにどんなプランがあるのか聞いてみたので、聞いた内容をまとめます。 ※情報が古い可能性があるので、念のため最新情報を各ホテルに確認したほうがよいかもしれません。

【番外編】AI(機械学習)やってみた。【第1回】ソムリAI ~決定木編~

最近ブームのAI(機械学習)に手を出しました。まずは、決定木(Decision Tree)というモデルを使って「ソムリAI(ワインソムリエAI)」を作ってみようと思います。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day0:渡米前にやっておくこと】

UMASS Lowellの卒業式@Bostonについて、計画の立て方やら行く前にやっておくことやらをまとめておきます。

【番外編】AI(機械学習)やってみた。【第3回】ソムリAI ~ニューラルネットワーク編~

AI(機械学習)やってみた、第3弾です。「ニューラルネットワーク(Neural Network)」を使ったソムリAIを作ってみようと思います。”ニューラルネットワーク”、見るからにAIっぽい名前ですよね。

【番外編】AI(機械学習)やってみた。【第6回】乳がん診断AI その1

ソムリAI(ワインソムリエAI)で使った手法で乳がん診断AIを作ってみます。まずは決定木とニューラルネットワークの2つのモデルを試してみます。かなり高性能なモデルができました。名医誕生かもしれません 笑

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day5:帰国】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。5 日目にして帰国なのです。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編)【Day 4:卒業式】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。4 日目は卒業式本番です。とても賑やかでアメリカンな式典でした。ただしあいにくの雨、僕曇り男なのに。。

【番外編】AI(機械学習)やってみた。【第2回】ソムリAI ~ロジスティック回帰編~

AI(機械学習)やってみた、第2弾です。前回は決定木(Decision Tree)を使ったソムリAI(ワインソムリエAI)を作りました。今回は「ロジスティック回帰(Logistic Regression)」というモデルを使ったソムリAIを作ってみようと思います。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day2:晩餐会】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。 2日目は午前中はボストン観光、夕方から Hooding ceremonyという卒業生(大学院生)向けの晩餐会です。卒業式で被るHoodをもらいました。

『深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト) 公式テキスト』 ☆5

一般社団法人日本ディープラーニング協会が実施している「Deep Learning for GENERAL (通称G検定 ) 」 の公式テキスト 。 ディープラーニングについて1冊で網羅的によくまとめられているので 、 ディープラーニングの入門書としてもおすすめです 。 ついでに勢いで資格も取ってしまいました 。 AI人材への第一歩なのです 笑