中国深センに造詣の深いアメリカ人ハードウェアエンジニアによる「オープンなハードウェア」の設計・製造指南書。ハードをハック(解体・再構築)する話だけかと思いきや、最後に「コンピューターと生命科学の共通性」の話が唐突に出てきて、これが抜群に面白かったです。

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この本を読むとわかること
メイド・イン・チャイナ
- 昔の秋葉原電気街の何倍もの規模を持つ深センの電子部品マーケット
- 必要な部品を必要なだけすぐに手に入れることができるのが深センイノベーション・山塞(コピー品)の原動力
- 中には中古機器の基盤から抜き取られた部品も
- よい工場の見抜き方
- 現場に足を運び品質評価基準を確認することの重要性
- 機械化できるのは生産数の多い部品、少量で単価の安い部品は基本手作業
- 工場の生産状況をアメリカで確認し解決するための「自家製リモート監視システム」
3つの全く違った工場の中身
- コンピュータの基盤工場
- 銅板に化学の力で回路を描き、力業でくりぬきカットしていく一連の流れ
- オープンハードArduinoの基盤の裏に描かれる高解像度なイタリア国旗の秘密
- USBメモリ工場
- 案外自動化されていないUSBメモリの製造プロセス
- 洋服のジッパー工場
- 金属・おがくず・「米」から作られるジッパー
工場に発注するためのHow to
- プロトタイプ用の部品表と量産用の部品表の違い
- 部品の最小注文数量とリードタイムの重要性
- 工場への設計変更の伝え方
- 量産のための設計最適化を行う「量産設計」
- 電子的な許容差と機械的な許容差を調整することによる歩留まりのコントロール
- 「製品の裏にある製品」と呼ばれる工場用のテストプログラムや治具
- リモート修正可能なテストプログラムが理想
- 工業デザインにおけるコンセプトと製造のバランスのとり方
- 絵餅にせず、凡庸なデザインにもしないための流儀
- 設計プロセス初期に工場を訪れることの重要性
- 見積もりを取るコツと、製造で失敗するよくある例
中国の「公開」イノベーション
- パチモン製造業者と思われがちな「山塞」とガレージ起業家だったころのスティーブ・ジョブズとの類似点
- ただの猿真似とは呼べない最新の山塞
- コピーし機能を加えて改変するという創造性
- APIでマッシュアップした機能だけでWEBサイトを作るようにハードウェアをデザイン
- 部品表や設計図を公開・共有する山塞特有のエコシステム
- 欧米とは異なる知財のとらえ方
- 知財が守られ最新技術を知ることが困難なハードウェアの欧米のスタートアップとは別次元のスピード感
- 深センで売られているわずか12ドルの山塞スマホ
様々なニセモノたち
- 深センで売られる怪しげなチップ
- 外見だけの模倣・再生品・質の悪い互換品・品質検査ではじかれ廃棄されているはずの不良品
- 本物を作る工場の設備でこっそり作られた「ゴーストシフト」
- 「エンジニアリングサンプル」と呼ばれる量産前の試作品
- 再生品のもととなる廃棄された電化製品は「e-waste」と呼ばれる貴重な資源
- 工場の利益水増しのために正規品に一定の割合で混ぜこまれる不良品
chumbyの物語
- iPhoneよりも前に売り出されたWi-Fi付きコンテンツ配信サービス「chumby」
- 一般的な部品を使い設計図を公開する「オープンハードウェア」として制作
- 「隠し事のないハードウェア」というのがメインコンセプト
- 中国でサプライチェーンを構築することの難しさ
- 工場との交渉事あるある
- クリスマス商戦に出荷が間に合わずプロジェクトは停止
- ハードウェアの値段を原価ぎりぎりにしてはいけないという教訓
- ハードウェアスタートアップにとっての中国の魅力と、乗り越えなければならない初期の課題とリスク
- 設計図や回路図が公開・同梱されえていたかつての電化製品
- ハード内部が公開されていた真空管ラジオやApple2
- ムーアの法則の減速によって実現される「プラットフォームの標準化」
- 部品単体の性能アップが減速することではじまるコンポーネントの標準化と互換性
Novena:自分自身のためのラップトップを作る
- だれでも自由にハックできるような部品・回路図を公開したノートPC
- 回路図をもとに自作することも可能
- 特注品になりやすいディスプレイについてもサプライヤーを探しサプライチェーンを整備
- PCのケースを作るためのプラスチックの射出成型の難しさと中国企業の技術力
- リチウムイオンバッテリーの輸送規定にまつわる問題
- 大容量バッテリーの輸送・輸入禁止規定とそれを解決したラジコンに使われる電池
Chibitoronics:サーキットステッカーを作る
- 曲げることのできるポリマー基盤を使ったフレキシブル海路の可能性
- 絵・紙細工と電子回路を組み合わせるという新しい試み
- 「シールのように剥がしてくっつけられる電子回路」というコンセプトではじまったChibitoronics
- 期日通りに出荷することがクラウドファンディングにおけるあるべき姿
- 掛け声倒れのクラウドファンディングへの懸念
ハードウェアハッキング
- 徹底したハードウェアハッキングには同じハードが3台必要
- ハックの基本はデバイスの挙動を調べるために検査用の「プローブ」を差し込めるポイントを探すこと
- チップの中に実装されるハードのセキュリティシステム
- エポキシにパックされたチップをこじ開ける故障解析サービスという専門業者
- 実際には欠陥だらけのフラッシュメモリのハードを補うソフトウェア
- エラー訂正機能と不良ブロックの管理機能によってハードの不具合を見えないように
- 見えないところでフラッシュメモリ上で実行されるコードの危険性
- ハードの集積度を上げ小さくするたびに価格は下がるが信頼性も下がる
生物学とインフォマティクス
- コンピュータで使われる「ビット」とみなすことのできるDNAとRNA
- DNAはディスクに保存されたプログラム
- RNAはメモリに呼び出されたプログラム
- DNAをロードするとタンパク質合成指示がRNAに転写されタンパク質が生成される
- タンパク質を形成するアミノ酸をピクセルとすると、合成されたたんぱく質は画像
- ゲノムをビットとみなすと、人に害を及ぼす新型インフルのデータ量は約3.2キロバイト
- コンピュータウイルスは22キロバイトなので生物ウイルスのほうが効率的
- 人のゲノムは800メガバイトでありサイズ的にウイルスが入り込むせきゅり的ホールがあると言える
- DNA複製におけるエラー訂正メカニズム
- エラー訂正機能のないRNAを使って増殖するインフルエンザウイルス
- DNAと生成されるタンパク質の関係をまとめたビッグデータと、それを使ったリバースエンジニアリング
- コンピュータを使った生物学の問題の解き方
- Windows Updateのようにゲノムに「パッチ」を当てるCRISPR/Casシステム
- 生物の生存能力を損なわずに遺伝子をパッチできる信頼性の高い手法
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