スキップしてメイン コンテンツに移動

『経済学者たちの日米開戦:秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く』 ☆4

非合理的・情報軽視というイメージのある日本陸軍ですが、実際には開戦前に多くの一流の経済学者を「秋丸機関」というシンクタンク的組織に集めて、日本だけでなくアメリカ・イギリス・ドイツなどの主要国の経済抗戦力の調査を行っており、勝ち目がないことを知っていたそうです。それにもかかわらず、なぜ開戦に踏み切ってしまったのか、理想的な戦略は何だったかを秋丸機関の報告書を軸に読み解いていきます。

↑気になったらここからポチっと↑

太平洋戦争は陸軍の暴走という見方がされることもありますが、実際には秋丸機関というシンクタンクを作って英米・ソ連・ナチスドイツの国力の分析やシミュレーションを丹念に実施しており、開戦が無謀であることは指導者層の共通認識だったそうです。陸軍が報告書を無視したという歴史観もあるそうですが、無謀であることを知りながらなぜ開戦という選択をしたのかを当時の資料から改めて検証しています。

また、当時の国際情勢を踏まえて日本がとるべきだった戦略についても考察されています。戦争とは外交の失敗であり、引き返しのきかない最終局面なので、臥薪嘗胆してでも外交努力をすべきだったのかもしれません。

この本を読むとわかること

満州国と秋丸機関

  • 満州国の建国が太平洋戦争の遠因
  • 第一次大戦の教訓を踏まえた欧州戦線の膠着
  • 「国力」の定義と世界の4つの勢力圏
    • 日本が築くべき東亜経済プロック(日満支)
    • 満州国経済に深くかかわった秋丸をトップとした陸軍版満鉄調査部としての秋丸機関

「新体制運動」の波紋

  • 権力分立体制を定めた大日本帝国憲法の制度疲労
    • 集権的な新体制を求めた「新体制運動」
    • 戦時経済運営の困難さが後押しした「新体制運動」
  • 経済新体制で目指したのは「資本と経営の分離・民有国営方式」
  • 「新体制運動」の秋丸機関への影響
  • 守旧派からの反対運動にビビった「新体制運動」のリーダー近衛文麿
    • 「新体制運動」の遺物である大政翼賛会

秋丸機関の活動

  • 英米・ドイツ・ソ連の国力分析結果
  • 仮想敵国と比較して脆弱な日本の国力と、過度な英米依存
  • 秋丸機関や陸軍のシミュレーションに基づいた「国防総合力の強化」という基本戦略
  • 近代国家総力戦における経済戦争・国防経済力の重要性
    • 経済学の観点での「理想的な戦争」
    • 狭義の経済戦争と広義の経済戦争

報告書は何を語り、どう受け止められたのか

  • 報告書に書かれた英米との圧倒的な国力の差
    • 英米の唯一とも言える弱点
  • 対英開戦時に日本がとるべき戦略
  • 報告書が予言したナチスドイツの限界と独ソ戦長期化というリスク要因
  • ドイツとともにソ連と戦う北進(消耗戦)と、不足している資源獲得するための南進(生産戦争・資源戦争)の論争に報告書が与えた影響
  • 報告書が日本の戦争戦略に与えた影響
  • ソ連の脅威という秋丸機関の慧眼

なぜ開戦の決定が行われたのか

  • 太平洋戦争開戦前に日本必敗を予測していた「総力戦研究所」
    • 戦後復興に総力戦研究所0Bが果たした役割
  • 勝ち目がないという正確な情報を指導者層が知っていたにもかかわらず、リスクの高い開戦を選択した理由
    • 行動経済学のプロスペクト理論による説明
    • 社会心理学の集団極化による説明
  • 「戦争の終末」という出口戦略のない開戦

「正しい戦略」とは何だったのか

  • 効果的な共同作戦をすることはなかった日本とドイツ
  • 真珠湾攻撃を成功させた海軍が抱き続けた不安材料
    • 真珠湾攻撃の時点で米国空母機動部隊による日本空襲の可能性を認識
  • 異なる仮想敵を持ち、統一的な戦略を持てなかった陸軍と海軍
  • 戦時中の日本が直面した根本的な問題
  • 日本がとるべきだった「連合国対枢軸国」→「資本主義対社会主義」という戦争構造のパラダイムシフト
↓気になったらここからポチっと↓

ベストビュー(過去1カ月)

『九龍城探訪 魔窟で暮らす人々 - City of Darkness』 ☆4

魔窟とも言われた香港の九龍城の住人へのインタビューや、在りし日の写真集。香港の本土返還に伴い取り壊されてしまっているけど、その怪しさに妙に惹かれるのです。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編)【Day 4:卒業式】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。4 日目は卒業式本番です。とても賑やかでアメリカンな式典でした。ただしあいにくの雨、僕曇り男なのに。。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day2:晩餐会】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。 2日目は午前中はボストン観光、夕方から Hooding ceremonyという卒業生(大学院生)向けの晩餐会です。卒業式で被るHoodをもらいました。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day0:渡米前にやっておくこと】

UMASS Lowellの卒業式@Bostonについて、計画の立て方やら行く前にやっておくことやらをまとめておきます。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day3:終日観光】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。3 日目は終日フリーなので、ゆっくりボストンを観光しました。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day5:帰国】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。5 日目にして帰国なのです。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day1:ボストンへ】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。 1日目は移動だけで終わりました。

『女たちの王国 「結婚のない母系社会」中国秘境のモソ人と暮らす』☆3

雲南省と四川省の境にある「世界で最後の母系社会を営むモソ族」の社会に入り込んだ中華系シンガポール人女性の手記。結婚という概念がない・一夫一妻制でもないなど、父系社会が当たり前の我々にはイメージしづらい世界ですが、命をはぐくむ女性を中心とした母系社会のほうが生物としては正しい在り方なのかもしれません。

【番外編】AI(機械学習)やってみた。【第3回】ソムリAI ~ニューラルネットワーク編~

AI(機械学習)やってみた、第3弾です。「ニューラルネットワーク(Neural Network)」を使ったソムリAIを作ってみようと思います。”ニューラルネットワーク”、見るからにAIっぽい名前ですよね。

『深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト) 公式テキスト』 ☆5

一般社団法人日本ディープラーニング協会が実施している「Deep Learning for GENERAL (通称G検定 ) 」 の公式テキスト 。 ディープラーニングについて1冊で網羅的によくまとめられているので 、 ディープラーニングの入門書としてもおすすめです 。 ついでに勢いで資格も取ってしまいました 。 AI人材への第一歩なのです 笑

ベストビュー(全期間)

Malaysia Quarantine Premium Package 【番外編】Malaysia赴任記 隔離ホテル情報

Once entering Malaysia, we need to be quarantined for 14days. At the beginning of COVID-19 spread, the hotel for quarantine have been determined randomly. In these days, we can choose "premium quarantine stay package" in advance . This article is summary of premium packages which I asked each hotel. Note: Information in this article might be old. It's better to confirm the latest plan to the hotel. Note: Only Hotel Istana can be booked via its homepage so far. As the other hotels don't show their premium package plans on their homepage, you need to contact them through their reservation E-mail address or "Contact us". マレーシア入国とともに14日間ホテルで隔離されます。当初は滞在ホテルがランダムに割り振られていたようですが、より快適なプレミアムプランが追加されました。各ホテルにどんなプランがあるのか聞いてみたので、聞いた内容をまとめます。 ※情報が古い可能性があるので、念のため最新情報を各ホテルに確認したほうがよいかもしれません。

【番外編】AI(機械学習)やってみた。【第1回】ソムリAI ~決定木編~

最近ブームのAI(機械学習)に手を出しました。まずは、決定木(Decision Tree)というモデルを使って「ソムリAI(ワインソムリエAI)」を作ってみようと思います。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day0:渡米前にやっておくこと】

UMASS Lowellの卒業式@Bostonについて、計画の立て方やら行く前にやっておくことやらをまとめておきます。

【番外編】AI(機械学習)やってみた。【第6回】乳がん診断AI その1

ソムリAI(ワインソムリエAI)で使った手法で乳がん診断AIを作ってみます。まずは決定木とニューラルネットワークの2つのモデルを試してみます。かなり高性能なモデルができました。名医誕生かもしれません 笑

【番外編】AI(機械学習)やってみた。【第3回】ソムリAI ~ニューラルネットワーク編~

AI(機械学習)やってみた、第3弾です。「ニューラルネットワーク(Neural Network)」を使ったソムリAIを作ってみようと思います。”ニューラルネットワーク”、見るからにAIっぽい名前ですよね。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day5:帰国】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。5 日目にして帰国なのです。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編)【Day 4:卒業式】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。4 日目は卒業式本番です。とても賑やかでアメリカンな式典でした。ただしあいにくの雨、僕曇り男なのに。。

【番外編】AI(機械学習)やってみた。【第2回】ソムリAI ~ロジスティック回帰編~

AI(機械学習)やってみた、第2弾です。前回は決定木(Decision Tree)を使ったソムリAI(ワインソムリエAI)を作りました。今回は「ロジスティック回帰(Logistic Regression)」というモデルを使ったソムリAIを作ってみようと思います。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day2:晩餐会】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。 2日目は午前中はボストン観光、夕方から Hooding ceremonyという卒業生(大学院生)向けの晩餐会です。卒業式で被るHoodをもらいました。

『深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト) 公式テキスト』 ☆5

一般社団法人日本ディープラーニング協会が実施している「Deep Learning for GENERAL (通称G検定 ) 」 の公式テキスト 。 ディープラーニングについて1冊で網羅的によくまとめられているので 、 ディープラーニングの入門書としてもおすすめです 。 ついでに勢いで資格も取ってしまいました 。 AI人材への第一歩なのです 笑