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『テクノロジーファースト なぜ日本企業はAI、ブロックチェーン、IoTを牽引できないのか?』福原 智 ☆4

AI・IoT・ブロックチェーンなどのデジタル技術が世の中をどう変えていくかと、なぜ日本のIT企業がその中心にいないのかを解説した本。IT業界に身を置く者としては耳の痛いことも書かれていますが、その通りなんだろうとも思います。


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ざっくり言うと

「スマホや向上のセンサーなどのIoT機器で集めたビッグデータをAIが解析し、ブロックチェーンで情報を分散管理する」というコンセプトが分かりやすいです。また、日本のIT産業がこのままではやばいというのがひしひしと伝わってきます。

人間 vs AI

1990年代後半にIBMのディープブルーがチェスの世界チャンピオンだったカスパロフに打ち勝ちました。その後、チェスと似ているが奪った駒を使うことのできる(=もっと大きな計算量が必要となる)将棋においてもBonanzaのようなプロを破るAIが登場しました。チェス・将棋ともにAI側の基本戦略は、コンピューターの計算量を最大限活用して想定される差し手を全て計算して最善手を選択するという、いわば力技でした。チェス・将棋ではAIが人間を凌駕するようになりましたが、囲碁はチェス・将棋以上に指してのバリエーションが多いため、力技でAIが勝つのは当面無理だろうと言われていました。チェスの手数が10の120乗・将棋が10の220乗であるのに対し、囲碁は10の360乗通りと、圧倒的に複雑なのです。

この不可能を可能にしたブレイクスルーがディープラーニングです。過去の無数の棋譜から、「勝ちパターンに見られる打ち方」を見つけることで、有望な指し手に絞ってシミュレーションを行い、計算量を抑えることに成功しました。言い方を変えると、盤面の白と黒の碁石の模様を見て良さそうな手をAIが見つけられるようになったということであり、AIが「大局観」を持てるようになったとも言えるのかもしれません。さらにAI同士を対戦させてものすごいスピードで経験を積ませることで指し手の精度を向上させました。GoogleのAlphaGOが囲碁の世界チャンピオン李セドルを倒したというニュースは記憶に新しいかもしれません。

最近では全く新しいコンセプトで開発されたAlphaGO Zeroというものが登場しました。AlphaGOが過去の棋譜から学んだのに対し、AlphaGO Zeroでは囲碁のルールのみ教え、それから先はAlphaGO Zero同士の対戦で強くしていったそうです。いわば、囲碁という競技の再発明みたいなものです。ちなみに、AlphaGO Zeroはかつて絶大な強さを誇ったAlphaGOに負けなしだそうです。

こうなってしまうと人間がAIに勝てるゲームがないように見えますが、まだまだチャンスはあると思っています。本書でも触れられていますが、チェス・将棋・囲碁に共通するのは、1対1の対戦であること・意思決定の結果が指し手として盤面に全てオープンになることです。例えば、麻雀のような複数人で行う&相手の手の内を推測しなければならないようなゲームは現在のAIでは荷が重いと思います。他には、変数が多く駆け引きが複雑な競馬とかでしょうか。強い麻雀AIや精度の高い競馬AIが登場するにはディープラーニング級のイノベーションがあと1つ・2つ必要なように思います。ドラえもんへの道は遠いのです。

 この本を読むとわかること 

  • GoogleのAlphaGOやテンセントFine Art(漢字だと「絶芸」)など、米中のIT企業はなぜこぞって囲碁AI開発に力を入れているのか?その背後にある思惑は?
  • 特定領域に特化しない汎用AIに求められる技術要素は?
  • 巷で使われる「AI」には単なる自動化のようなマユツバなものも多い。真のAIの特徴とは?
  • 日本のIT企業がアマゾンに追いつけない理由は?
  • IT業界において、1960年代から20年周期で発生したイノベーションのサイクルと今後の展望は?
  • なぜこのタイミングでAI(ディープラーニング)が急速に進歩したのか?
  • なぜ日本のIT業界はマイクロソフトやGAFAのように世界的な製品・サービスを生み出せなかったのか?
    • 日本のコンピューター産業の得意/不得意は?
  • IT・AIに象徴される産業革命4.0は現状どこまで到達していて、どのような展望なのか?
    • 次世代のAIは何ができるようになるのか?
  • AI・IoT・ブロックチェーンなどのデジタル技術による変革が期待できる業務領域は?
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『動物たちのすごいワザを物理で解く』☆4

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