日本の多重請負型のシステム開発モデルを前提として、どうすれば3K・ブラックから脱却できるのかを考える本。現在のシステム開発手法の説明に多くのページを割いている&よくまとまっているので、若手~中堅くらいのSEが読むのが良いと思う。
↑読みたくなったらココからポチっと↑
たまには本業に直結する本を。
アジャイルやらDevOpsのようなアメリカ発祥のシステム開発技術を日本のIT業界(SIer)に適用したり、現在の開発手法自体を改善して、ブラック・IT土方呼ばれる日本のシステム開発を近代化(モダナイゼーション)するための道筋を考えます。
結果としてSIerがシステム構築にかかわる全般を丸ごと請け負って、完成までコントロールする形態のプロジェクトが主流となり、契約をとってきたSIer(プライムと呼ばれます)を頂点とする多重請負型のピラミッド形式のプロジェクト体制が組まれます(ゼネコンとよく似たモデルです)。官公庁・企業・金融機関の基幹システムのような、超大規模なシステムを構築・維持するプロジェクトが多いため、SIerには多くの開発者(数百人規模とかもざら)を束ねて、それぞれの強み・弱みを補完して、プロジェクト全体のパフォーマンスを高める役割が求められます。
発注者(企業)側のメリットは、SIerに完成責任を転嫁できることと、システム部門を持たない・軽くすることで、コスト削減につながることです。一方で受注者(SIer)側のメリットは、個別カスタマイズして作ったITシステムはスイッチングコストが高いので一度受注するとある程度継続してビジネスができることです。
そのため、アメリカ国内で作られている主要なITシステムとは結果として、”競争優位性につながるクリティカルなシステム”であり、”早く作って早く市場投入する”ことを信条にアジャイルやDevOpsという概念が発達してきました。少数精鋭のチームで短期開発するというのが日本との大きな違いです。
このように、日本とアメリカで作っているシステムの性質が大きくことなるため、SoE向けに考案されたアメリカ発のアジャイルやDevOpsをSoR・SoEが混在する日本型のシステム開発に単純に適用することは困難です(無理矢理適用すると炎上プロジェクトになります)。
そのための方策として、例えば以下の3点が示されています。
↓読みたくなったらココからポチっと↓

↑読みたくなったらココからポチっと↑
たまには本業に直結する本を。
アジャイルやらDevOpsのようなアメリカ発祥のシステム開発技術を日本のIT業界(SIer)に適用したり、現在の開発手法自体を改善して、ブラック・IT土方呼ばれる日本のシステム開発を近代化(モダナイゼーション)するための道筋を考えます。
●日本とアメリカのシステム開発手法の違い
日本とアメリカではシステム開発への考え方やら、やり方やらが異なるので、アメリカ発の開発手法を日本型システム開発プロジェクトに単純に適用することは難しいのです。●日本型システム開発
システムインテグレーター(SIer)と呼ばれるIT企業にシステム構築を委託するやり方が主流です。一部の大企業やITが競争優位性を左右するような企業は自社で情報システム子会社や情報システム部門を保有し、企画や開発を自社でやっている場合もあります。一方で、情報システム部門と言いつつ、SIerに仕事を放り投げるだけのケースが多いのも事実です。結果としてSIerがシステム構築にかかわる全般を丸ごと請け負って、完成までコントロールする形態のプロジェクトが主流となり、契約をとってきたSIer(プライムと呼ばれます)を頂点とする多重請負型のピラミッド形式のプロジェクト体制が組まれます(ゼネコンとよく似たモデルです)。官公庁・企業・金融機関の基幹システムのような、超大規模なシステムを構築・維持するプロジェクトが多いため、SIerには多くの開発者(数百人規模とかもざら)を束ねて、それぞれの強み・弱みを補完して、プロジェクト全体のパフォーマンスを高める役割が求められます。
●アメリカ型システム開発
SIerへの委託を中心とする日本とは対照的に、アメリカの場合では情報システム部門が内製しているケースが多いです。ただし、何でも内製しているわけではなく、競争優位性に直結するシステム(SoE: System of Engagements, Mode2と呼ばれます)は内製、そうではないシステム(SoR: System of Records, Mode1と呼ばれます)は外注かアウトソーシングするなど、システムの特性・位置づけによって使い分けているケースが多いです。例えば、金融機関の場合、Fintech連携のような顧客満足度にかかわるフロントのシステムは内製するが、基幹系システムのような差別化につながりにくいバックエンドのシステムはインドのベンダーにアウトソーシングするなどです。そのため、アメリカ国内で作られている主要なITシステムとは結果として、”競争優位性につながるクリティカルなシステム”であり、”早く作って早く市場投入する”ことを信条にアジャイルやDevOpsという概念が発達してきました。少数精鋭のチームで短期開発するというのが日本との大きな違いです。
このように、日本とアメリカで作っているシステムの性質が大きくことなるため、SoE向けに考案されたアメリカ発のアジャイルやDevOpsをSoR・SoEが混在する日本型のシステム開発に単純に適用することは困難です(無理矢理適用すると炎上プロジェクトになります)。
●日本型プロジェクトを近代化するためには
日本のSoR型システム開発の難しさの原因は、”作業量の多さから少数精鋭での開発ができないこと”です。言い換えると、”経験やスキルセットの異なる多人数をうまく束ねて、チーム全体で補完しあってパフォーマンスを出す必要があること”です。そのための方策として、例えば以下の3点が示されています。
- 中堅層のPM・業務SEの再教育
- アーキテクトの育成
- 初級エンジニアの設計・実装スキル底上げ
また、システム開発の標準的な手法であるV字モデルについて、勘所など含めて詳しく解説しているので、SI業界に携わる方はここを参照すると勉強になると思います。僕も社内の分けて向けの研修の講師をやっていますが、ネタになりそうな記述がいくつかありました♪。
↓読みたくなったらココからポチっと↓