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『業務システム開発モダナイゼーションガイド 非効率な日本のSIを変革する実践的ベストプラクティス』赤間 信幸 ☆4

日本の多重請負型のシステム開発モデルを前提として、どうすれば3K・ブラックから脱却できるのかを考える本。現在のシステム開発手法の説明に多くのページを割いている&よくまとまっているので、若手~中堅くらいのSEが読むのが良いと思う。



業務システム開発モダナイゼーションガイド 非効率な日本のSIを変革する実践的ベストプラクティス
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たまには本業に直結する本を。
アジャイルやらDevOpsのようなアメリカ発祥のシステム開発技術を日本のIT業界(SIer)に適用したり、現在の開発手法自体を改善して、ブラック・IT土方呼ばれる日本のシステム開発を近代化(モダナイゼーション)するための道筋を考えます。

●日本とアメリカのシステム開発手法の違い

日本とアメリカではシステム開発への考え方やら、やり方やらが異なるので、アメリカ発の開発手法を日本型システム開発プロジェクトに単純に適用することは難しいのです。

●日本型システム開発

システムインテグレーター(SIer)と呼ばれるIT企業にシステム構築を委託するやり方が主流です。一部の大企業やITが競争優位性を左右するような企業は自社で情報システム子会社や情報システム部門を保有し、企画や開発を自社でやっている場合もあります。一方で、情報システム部門と言いつつ、SIerに仕事を放り投げるだけのケースが多いのも事実です。

結果としてSIerがシステム構築にかかわる全般を丸ごと請け負って、完成までコントロールする形態のプロジェクトが主流となり、契約をとってきたSIer(プライムと呼ばれます)を頂点とする多重請負型のピラミッド形式のプロジェクト体制が組まれます(ゼネコンとよく似たモデルです)。官公庁・企業・金融機関の基幹システムのような、超大規模なシステムを構築・維持するプロジェクトが多いため、SIerには多くの開発者(数百人規模とかもざら)を束ねて、それぞれの強み・弱みを補完して、プロジェクト全体のパフォーマンスを高める役割が求められます。

発注者(企業)側のメリットは、SIerに完成責任を転嫁できることと、システム部門を持たない・軽くすることで、コスト削減につながることです。一方で受注者(SIer)側のメリットは、個別カスタマイズして作ったITシステムはスイッチングコストが高いので一度受注するとある程度継続してビジネスができることです。

●アメリカ型システム開発

SIerへの委託を中心とする日本とは対照的に、アメリカの場合では情報システム部門が内製しているケースが多いです。ただし、何でも内製しているわけではなく、競争優位性に直結するシステム(SoE: System of Engagements, Mode2と呼ばれます)は内製、そうではないシステム(SoR: System of Records, Mode1と呼ばれます)は外注かアウトソーシングするなど、システムの特性・位置づけによって使い分けているケースが多いです。例えば、金融機関の場合、Fintech連携のような顧客満足度にかかわるフロントのシステムは内製するが、基幹系システムのような差別化につながりにくいバックエンドのシステムはインドのベンダーにアウトソーシングするなどです。

そのため、アメリカ国内で作られている主要なITシステムとは結果として、”競争優位性につながるクリティカルなシステム”であり、”早く作って早く市場投入する”ことを信条にアジャイルやDevOpsという概念が発達してきました。少数精鋭のチームで短期開発するというのが日本との大きな違いです。

このように、日本とアメリカで作っているシステムの性質が大きくことなるため、SoE向けに考案されたアメリカ発のアジャイルやDevOpsをSoR・SoEが混在する日本型のシステム開発に単純に適用することは困難です(無理矢理適用すると炎上プロジェクトになります)。

●日本型プロジェクトを近代化するためには

日本のSoR型システム開発の難しさの原因は、”作業量の多さから少数精鋭での開発ができないこと”です。言い換えると、”経験やスキルセットの異なる多人数をうまく束ねて、チーム全体で補完しあってパフォーマンスを出す必要があること”です。
そのための方策として、例えば以下の3点が示されています。
  • 中堅層のPM・業務SEの再教育
  • アーキテクトの育成
  • 初級エンジニアの設計・実装スキル底上げ
詳しくは、本書を参照ください(ただ、全体のページにおける割合は少なめです)。
また、システム開発の標準的な手法であるV字モデルについて、勘所など含めて詳しく解説しているので、SI業界に携わる方はここを参照すると勉強になると思います。僕も社内の分けて向けの研修の講師をやっていますが、ネタになりそうな記述がいくつかありました♪。

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ベストビュー(過去1カ月)

『九龍城探訪 魔窟で暮らす人々 - City of Darkness』 ☆4

魔窟とも言われた香港の九龍城の住人へのインタビューや、在りし日の写真集。香港の本土返還に伴い取り壊されてしまっているけど、その怪しさに妙に惹かれるのです。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編)【Day 4:卒業式】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。4 日目は卒業式本番です。とても賑やかでアメリカンな式典でした。ただしあいにくの雨、僕曇り男なのに。。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day2:晩餐会】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。 2日目は午前中はボストン観光、夕方から Hooding ceremonyという卒業生(大学院生)向けの晩餐会です。卒業式で被るHoodをもらいました。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day0:渡米前にやっておくこと】

UMASS Lowellの卒業式@Bostonについて、計画の立て方やら行く前にやっておくことやらをまとめておきます。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day3:終日観光】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。3 日目は終日フリーなので、ゆっくりボストンを観光しました。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day5:帰国】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。5 日目にして帰国なのです。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day1:ボストンへ】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。 1日目は移動だけで終わりました。

『女たちの王国 「結婚のない母系社会」中国秘境のモソ人と暮らす』☆3

雲南省と四川省の境にある「世界で最後の母系社会を営むモソ族」の社会に入り込んだ中華系シンガポール人女性の手記。結婚という概念がない・一夫一妻制でもないなど、父系社会が当たり前の我々にはイメージしづらい世界ですが、命をはぐくむ女性を中心とした母系社会のほうが生物としては正しい在り方なのかもしれません。

【番外編】AI(機械学習)やってみた。【第3回】ソムリAI ~ニューラルネットワーク編~

AI(機械学習)やってみた、第3弾です。「ニューラルネットワーク(Neural Network)」を使ったソムリAIを作ってみようと思います。”ニューラルネットワーク”、見るからにAIっぽい名前ですよね。

『深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト) 公式テキスト』 ☆5

一般社団法人日本ディープラーニング協会が実施している「Deep Learning for GENERAL (通称G検定 ) 」 の公式テキスト 。 ディープラーニングについて1冊で網羅的によくまとめられているので 、 ディープラーニングの入門書としてもおすすめです 。 ついでに勢いで資格も取ってしまいました 。 AI人材への第一歩なのです 笑

ベストビュー(全期間)

Malaysia Quarantine Premium Package 【番外編】Malaysia赴任記 隔離ホテル情報

Once entering Malaysia, we need to be quarantined for 14days. At the beginning of COVID-19 spread, the hotel for quarantine have been determined randomly. In these days, we can choose "premium quarantine stay package" in advance . This article is summary of premium packages which I asked each hotel. Note: Information in this article might be old. It's better to confirm the latest plan to the hotel. Note: Only Hotel Istana can be booked via its homepage so far. As the other hotels don't show their premium package plans on their homepage, you need to contact them through their reservation E-mail address or "Contact us". マレーシア入国とともに14日間ホテルで隔離されます。当初は滞在ホテルがランダムに割り振られていたようですが、より快適なプレミアムプランが追加されました。各ホテルにどんなプランがあるのか聞いてみたので、聞いた内容をまとめます。 ※情報が古い可能性があるので、念のため最新情報を各ホテルに確認したほうがよいかもしれません。

【番外編】AI(機械学習)やってみた。【第1回】ソムリAI ~決定木編~

最近ブームのAI(機械学習)に手を出しました。まずは、決定木(Decision Tree)というモデルを使って「ソムリAI(ワインソムリエAI)」を作ってみようと思います。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day0:渡米前にやっておくこと】

UMASS Lowellの卒業式@Bostonについて、計画の立て方やら行く前にやっておくことやらをまとめておきます。

【番外編】AI(機械学習)やってみた。【第6回】乳がん診断AI その1

ソムリAI(ワインソムリエAI)で使った手法で乳がん診断AIを作ってみます。まずは決定木とニューラルネットワークの2つのモデルを試してみます。かなり高性能なモデルができました。名医誕生かもしれません 笑

【番外編】AI(機械学習)やってみた。【第3回】ソムリAI ~ニューラルネットワーク編~

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【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day5:帰国】

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【番外編】AI(機械学習)やってみた。【第2回】ソムリAI ~ロジスティック回帰編~

AI(機械学習)やってみた、第2弾です。前回は決定木(Decision Tree)を使ったソムリAI(ワインソムリエAI)を作りました。今回は「ロジスティック回帰(Logistic Regression)」というモデルを使ったソムリAIを作ってみようと思います。

【番外編】ボストン旅行記(UMASS Lowell卒業式編) 【Day2:晩餐会】

UMASS Lowellの卒業式@Boston。 2日目は午前中はボストン観光、夕方から Hooding ceremonyという卒業生(大学院生)向けの晩餐会です。卒業式で被るHoodをもらいました。

『深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト) 公式テキスト』 ☆5

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