2013年初夏に内閣府(議長は安倍首相)が中心になって策定した”日本再興戦略”。期限付きKPIが設定されているので5年経過してどうだったか評価してみました。結果として、おおむね順調なものの、教育関連やグローバルビジネス関連に課題がありました。
ちなみに、本書はWEBでも公開されています。リンク
また、内閣府でも定期的に振り返っていて、目標値の調整などをやっています(最後の最後で気付いた 泣)。
●基本的な考え方
ちなみに、本書はWEBでも公開されています。リンク
また、内閣府でも定期的に振り返っていて、目標値の調整などをやっています(最後の最後で気付いた 泣)。

●基本的な考え方
- 年間名目GDP3%・実質GDP2%の成長を目指す。
- 民間の活力を最大化するためのイノベーション推進・規制緩和によるグローバルな製造業の復活と高付加価値サービス業の創出を目指す。
- 技術で勝ち続ける国・知的財産立国を目指す(”再興”なので、在りし日(製造業が牽引した高度成長期)の成功体験を再び目指すのだろうか?家康回顧の享保・寛政・天保の改革と同じ考え方か?)。
●KPI
- 民間投資を拡大し、事業再編を進める
- 【目標】3年間でリーマンショック前の設備投資水準(70兆円/年(2012年は63兆円))を回復する。
- 【結果】同じ尺度で測った数値は発見できなかったものの、財務省の調査機関である財務総合政策研究所の2016年の公表値では3年間で10%以上伸びているため、達成したと判断できる。
- 【ソース】財務総合政策研究所
- 【目標】開業率が廃業率を上回る状態にし、米英レベルの開・廃業率10%台(現状5%台)を目指す。
- 【結果】2017年度の中小企業白書では、全業種平均の開業率が5.2%・廃業率が3.8%であり、目標策定時点とほぼ変わらない。
- 【ソース】中小企業白書
- 【目標】ビジネス環境ランキングで先進国3位以内を目指す。
- 【結果】2017年度版の結果では34位(ニュージーランド・シンガポール・デンマークがトップ3)。先進国で何位になっているかは不明だが、3位以内に入っていないことは確実。
- 【ソース】世界銀行
- 健康長寿産業を創り、育てる
- 農林水産業を成長産業にする
- 【目標】今後10年間で(2023年までに)、全農地面積の8割が「担い手」によって利用され、コメの生産コストを4割削減し、法人農家数を5万法人にする。
- 【結果】
- 農地利用率:荒廃農地を含めた利用率は2016年時点で86%(クリア)
- コメの生産コスト:2015年時点で7%減(\16,000→\15,000)。固定費のウェイトが大きいので抜本的な削減は困難と思料。
- 法人農家数:27,000件(今後の伸びに期待)
- 【ソース】
- 【目標】2020年に6次産業の市場規模を10兆円(現状1兆円)に拡大する。
- 【結果】2015年時点で約2兆円(苦しいか)
- 【ソース】農水省
- 【目標】2020年に農林水産物・食品の輸出額を1兆円(現状4,500億円)に拡大する。
- 【結果】2017年時点で8,000億円(届きそう)
- 【ソース】農水省
- エネルギー産業を育て世界市場を獲得する
- 【目標】2020年に約26兆円(現状約8兆円)の内外のエネルギー市場を獲得する。
- 【結果】N/A。ただし、東芝の海外での原発受注目論見が外れたなどのニュースを見ている限り、苦しいのではないかと思料。
- 民間の資金・知恵を活用して社会資本を整備・運営・更新する(PPP/PFI)
- 【目標】2023年までにPPP/PFI事業規模を12兆円(現状4.1兆円)に拡大する。
- 【結果】2016年に目標値を21兆円に上方修正しているため、当初目標は達成可能と思料。
- 【ソース】内閣府
- ITを活用したイノベーションを起こす
- 【目標】2015年度中に世界最高水準の公共データの公開内容(データセット1万以上)を実現する。
- 【結果】2015年度で約13,000件、2017年度で約19,000件のオープンデータを開示(目標値自体が固すぎた(容易に達成できる目標値だった)のではないだろうか)。
- 【ソース】内閣官房総合IT戦略室
- 「女性の力」を最大限活かす
- 【目標】2020年に女性の就業率(25歳から44歳)を73%(現状68%)にする。
- 【結果】2015年時点で71.6%(いけそう)
- 【ソース】厚生労働省
- 成熟分野から成長分野への失業なき労働移動を進める
- 【目標】2018年までに失業期間6カ月以上のものを2割減少させ、一般労働者の転職入職率を9%(2011年度は7.4%)とする。
- 【結果】
- 失業期間:N/A
- 一般労働者の転職入職率:2015年8.5%・2016年8.0%
- 【ソース】厚生労働省
- 国の総力を結集して「技術で勝ち続ける国」を創る
- 【目標】2018年までに科学技術イノベーションランキング世界1位(世界経済フォーラムでは2013年時点で5位)
- 【結果】色々なランキング見たけど、ちょっと苦しいかな。
- 【ソース】
- 経済連携等を進め新興国等の成長を最大限取り込む
- 成長が見込まれる世界のインフラ市場を官民一体で獲得する
- クールジャパンの推進及び訪日外国人旅行者や対内直接投資の受入れ拡大により、徹 底したグローバル化を進める。