永世七冠の羽生さんとIPSの山中さんによるAIを軸とする未来像についての対談。勝負師としての思考方法から最新生命科学の知見まで幅広くカバーしており、面白くて一気読みしてしまった。おすすめ!
IPS細胞のミソは分化が住んだ細胞(たとえば手の皮の細胞)を巻き戻してなんにでも分化文化のできる万能細胞を作った点です。このIPS細胞を操作することで疾患のある臓器を人工的に作ろう・人工臓器を使って病変を再現して治療法を確立しようというのがIPS研究の目標なのです。そう言った意味だと、臓器移植のためにクローンを育てていた映画の”アイランド”とか、カズオ・イシグロの”わたしを離さないで”と近しいのです。
AIについても触れられていました。個人的には、AIにも向き・不向きがあって、完全にAIによって代替されるケースとAIが人間の補助的な役割を果たすケースの2パターンになるんだろうなと思います。また、SFにでてくるような人間型の万能AIというより、特定の作業に特化したAIが個別に作られるので、スカイネットのような人間の脅威には(すくなくとも当面は)ならないのだろうなと思います。
また、羽生さんによると棋士の思考プロセスは直感・読み・大局観の3つに分類されるそうです。

IPS細胞のミソは分化が住んだ細胞(たとえば手の皮の細胞)を巻き戻してなんにでも分化文化のできる万能細胞を作った点です。このIPS細胞を操作することで疾患のある臓器を人工的に作ろう・人工臓器を使って病変を再現して治療法を確立しようというのがIPS研究の目標なのです。そう言った意味だと、臓器移植のためにクローンを育てていた映画の”アイランド”とか、カズオ・イシグロの”わたしを離さないで”と近しいのです。
また、羽生さんによると棋士の思考プロセスは直感・読み・大局観の3つに分類されるそうです。
- 直感:経験を踏まえて次の一手を2・3に絞る。
- 読み:未来のシミュレーション。羽生さんクラスでも10手先までは予測できない。
- 大局観:攻めるのか守るのかなど全体の流れを読む。
また、何か判断する時の最初の直感・ファーストインプレッションて、思いつきなので全然論理的ではないけど、なんだかんだで正しいことが多い気がします(順を追ってロジカルに考えても同じ結論に至る)。(個人的な考えだけど)この状態って論理的思考そのものが潜在化されている状態で、考えなくても正しい結論が導かれる状態なのだと思います。例えば、自転車に乗るときに足の運びなどを考えなくても自然に乗れるのと同じように。ただ、自転車に乗れるようになるにはそれなりの時間と訓練が必要なように、思考を潜在化するためには時間と訓練が必要なのだと思います(それを”経験”と呼ぶのでしょう)。羽生さんが言うように、膨大で多様な経験を積んで、直感の精度を上げるのがとても大事なんだと思います。
面白かったのは、記憶が遺伝する可能性があるという研究。ネズミに特定の条件で電気ショックを与え続けると、子孫は統計的に優位な確率でその条件を避けるという研究結果があるそうです。これが示唆するのは、生殖細胞が後天的に一部書き換えられている可能性があるということで、子供に親の先天的な形質だけでなく、後天的な要素も遺伝しているかもしれないということなのです。