『アメリカにおける中国研究の第一人者で「パンダハガー(パンダを抱いた人=親中派)」だった著者が親中派と袂を分かち、中国の危険性について警鐘を鳴らすに至った記録』という元CIA長官の推薦文付きの本。2015年発刊と、少し時間が経っているので「今」の目線で鳴らされた警鐘がどのくらい当たっているのかという視点で読むと面白いです。最近の中国が領土問題や米中対立などで強気に出始めた理由がよく分かったのです。

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この本を読むとわかること
希望的観測
- 「中国は西洋帝国主義の気の毒な被害者」とみなしがちな中国を研究する多くのアメリカ人
- アメリカの対中観における誤っていた前提
- つながりを持てば完全な協力がもたらされる
- 中国は民主化への道を歩んでいる
- アメリカが圧力をかけすぎると中国は崩壊しアジア全体が混乱に陥る
- 中国はアメリカのようになることを望み、行動している
- 中国のタカ派は弱い
中国の夢
- 「放っておくと白人は有色人種を駆逐する」という毛沢東の根本思想
- 「中国はソ連の隷属的なパートナーに満足していない」というレポートを信じなかったアメリカと、信じたソ連
- 「建国した1949年から100年かけて世界一になる」という100年マラソン戦略(=中国の夢)
- 冷戦を利用しソ連から支援を引き出し、それがうまくいかなくなるとアメリカに対ソ協力を申し出て支援を引き出した「借刀殺人」(古代中国の兵法)
- 身を臥し爪を研いだ中国の指導者の中で初めて「中国の夢」に言及した習近平
- 「中国の夢」「100年マラソン」が中国人全体の共通認識として浸透
争う国々
- 中国の戦略の核となる古代戦国時代の教え・教訓
- 能ある鷹は爪を隠すの意味でとらえられがちな「韜光養晦(とうこうようかい)」の本来の意味
- 「100年マラソン」の土台となっている9つの戦略
- 善意と誠実さからなる儒教的な世界と、覇権をめぐって容赦なく争う戦国時代の世界という2つの中国の伝統
- アメリカに対して「鼎の軽重を問う」ことを避ける中国
- 中国経済発展の戦略は、自らの野望を伏せアメリカから技術・投資・政治的支援を手に入れ、アメリカ市場に中国製品を売り込むこと
- 中国の戦略の核となる「勢」という概念
アプローチしたのは中国
- CIAやFBIなどアメリカの中枢に忍び込んでいる中国のスパイ
- 対照的に中国政府内部に近づけていないアメリカ
- ニクソンを訪中させた戦国時代の戦略
- 中国がアメリカに対して使う「覇」の真の意味
- 公開された毛沢東の回想録に書かれていた米ソ対立を使ったアメリカへの接近と利用
- アメリカに「私たちにずっと近い中国人」という印象を刷り込むことに成功した鄧小平
- 「積極的に自由化を進める」という中国の言い分を信じて産業・テクノロジー面で支援したレーガン以降の歴代アメリカ政権
ミスター・ホワイトとミズ・グリーン
- 「天安門事件はアメリカが中国共産党を打倒するために仕組んだ」という風説をまじめに信じた鄧小平
- 自由化への潮流を崩壊させ、「精神汚染」という論理が登場するきっかけとなった天安門事件
- 好対照な二人のスパイ
- 中国の正しい実態・情報を流したが当時のアメリカの中国観とかけ離れていたために信じてもらえなかったミスター・ホワイト
- アメリカ政府が喜びそうな情報を流し重用されたミズ・グリーン
- アメリカを打倒して覇権を握る「中国の夢」実現のための愛国教育
アメリカという巨大な悪魔
- 愛国教育の結果としての中国の若い世代のアメリカ観
- アメリカは中国の正当な世界的地位を破壊しようとする十字軍
- 正しい歴史を知らない若手党幹部と外交官
- 正しいことを教えられない教員
- 教育内容を指定するのは共産党
中国のメッセージポリス
- 軍事力ではなく経済戦争・サイバー攻撃によってアメリカのような大国を打倒できることを述べ中国国内で大ヒットした「超限戦」
- 著者は人民解放軍の2人の大佐
- 中国政府による国内メディアの言論統制
- 他国に対する印象操作が目的
- 中国に招待され様々な機会を与えられる親中的なアメリカ人「レッドチーム」
殺手カン(金ヘンに日)
- 自分より強いものを倒すことのできる伝説の武器「殺手カン」
- 様々な「殺手カン」を着々と準備する中国政府
- 「殺手カン」によってはじめて中国軍に敗れた米軍@国防総省の戦闘シミュレーション
- 長距離ミサイルや核兵器など従来型兵器への投資を削減し、サイバー・宇宙などの先進兵器へ舵を切る中国
- 中国の発展・統治を支援してきたと自負するアメリカと、アメリカは中国を抑圧していると信じる中国政府
- 中国政府がアメリカに抱く7つの恐怖
- ハイテクシステムに頼りすぎるという米軍の弱点
- 中国が仕掛けるサイバー戦争
- 中国が画策するサイバー戦争による「真珠湾攻撃」
資本主義者の欺瞞
- アメリカ政府が自国企業を支援したことでアメリカが覇権国になったと考える中国
- それに倣い自国企業を保護・育成する中国政府
- 「中国は欧米のようになりたがっている」というメッセージを出し警戒心を取り除こうとする共産党のスポークスマン
- かつて中国を警戒し支援を打ち切ったソ連から学んだ教訓
- 韓国の財閥・日本の複合企業モデルを参考に、それをさらに進めた「国有企業モデル」
- 2010年までにフォーチュン500に50企業を入れるという中国の「ナショナルチャンピオン計画」
- 第二次ナショナルチャンピオン計画において重視されるファーウェイ
2049年の中国の世界秩序
- 様々なエコノミストによる2050年の中国
- 中国をリーダーとする単極世界
- 米中を超大国とする二極世界
- 米中インドの三極世界
- 中国政府の雇ったブロガー・ジャーナリストによる都合の良い情報の積極的な発信
- 勢力を拡大するための企業や途上国への戦略的融資と投資
- 世界銀行を上回る投資額
- アメリカの敵をひそかに支援する中国
- タリバンが支配するカブールの電話網を構築した中国の二大電気通信会社
- 国連の警告を無視してフセイン政権下のイラクに敷設した光ファイバーシステム
- リビアに核関連情報を提供した痕跡
- NATOに対抗することを視野にロシア・コーカサス諸国と結成した上海協力機構(SCO)
- 新興国の台頭によって機能不全化が進む国連とWTO
- 自信をつけた胡錦涛・習近平が指導者として初めて口にした「中国の夢」
威嚇射撃
- リーマンショックのアメリカのダメージを見て「勢」が有利になったと判断した中国
- 2009年以降他国に対する攻撃的な振る舞いが増加
- 最も緊張の高まる日中関係
- 中国人から見ると日本人はアジアにおけるアメリカの代理国であり、「雑種」のアジア人
- 日本の対応は中国のマラソン戦略に対する試金石
戦国としてのアメリカ
- アメリカが中国に対してとるべき戦略
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