現在の日本型労働形態と緩やかな階層の固定化の背景をこの国の成り立ちから紐解いた本。「就職ではなく就社」「働き方の多様化」など現代日本のシステムにはそうなるべくしてなった歴史的背景があるのでした。これまでワークしていたシステムも外部環境が変わると劣化してくるので、アップデート(≠リプレイス)しないといけないんだろうなと思いました。

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この本を読むとわかること
日本社会の「三つの生き方」
- 収入は高いが地域との結びつきが希薄な「大企業型」
- 経済力は弱いが地域に密着し政治力のある「地元型」
- 行政・政治家が意識するのはこの層
- 大企業型・地元型両方のマイナス面を集めた「残余型」
- 都市部の非正規労働者が象徴
- 世帯年収400~500万が経済格差のボーダー
- この水準を下回ると「普通」を我慢しなければならない剥奪指標が急上昇
- 社会保険料などの公租公課、教育費の上昇が背景
- 国際的にみれば低学歴化が進む日本
- 欧米では合理化・淘汰が進んだ中小・零細企業が残存する日本
- 中小企業団体と結びついた自民党政権による保護
- 大企業型・地元型を対象に設計された社会保障制度
- 分断される大企業の労働市場と中小企業の労働市場
- 1957年の経済白書が予見した「労働市場の二重構造的封鎖性」
- 労働市場が分断されているから賃金競争が起こらず中小企業が残存
日本の働き方、世界の働き方
- 上級職員・下級職員・現場労働者という企業における三層構造
- 欧米企業に由来する階層構造
- 「職務の平等」を追求した欧米と、「社員の平等」を追求した日本
- 「どの職務か」で格差が意識される欧米
- 「どの会社か」で格差が意識される日本
- ITや金融など新興産業で開く格差
- 学位や専攻によって賃金に差が出る欧米
- 世界的に高まる大学院進学率と取り残される日本
- ジョブ型雇用の欧米とメンバーシップ型雇用の日本
- 新卒大量一括採用・定期人事異動・大部屋での執務という日本企業独特の慣習が生まれた背景
- 従業員を簡単に解雇できない日本企業と簡単に異動させられない欧米企業
歴史のはたらき
- ヨーロッパで発達した同業の職人による組合・ギルド
- 「同一労働同一賃金」の浸透で職務の平等が進んだヨーロッパ
- 結果として業務の部品化・標準化が進展
- 人種差別禁止を背景に職務の平等が進んだアメリカ
- ギルドの免許状の現代版としての大学院の学位
- 洋の東西を問わず内部労働市場(日本型雇用形態)ができやすい重厚長大産業
日本型雇用の起源
- 日本企業の三層構造の特徴
- 入社時に「職務に対応した専門能力を評価しない」のは明治の近代化の頃の名残
- 日本の官公庁の三層構造がすべての出発点
- キャリア・ノンキャリ・嘱託
- 民間に引き継がれひな型となった三菱の「俸給表」
慣行の形成
- 高等教育を受けた人材の不足から始まった大卒者の新卒一括採用
- 上級官僚育成のために導入された定期異動と年功昇進
- 官公庁に端を発する大部屋での執務と個人の職務範囲の曖昧さ
- 昭和初期の大卒者の急増と、人物重視の面接の導入
- 女性職員の「若年定年制」
民主化と「社員の平等」
- 戦後の復興で進んだ社員間の差別撤廃
- 年齢と家族数で給料が決まる生活給的賃金制度の成立
- 貧しい時代背景から生活の保証を重要視
- 官吏の恩給制度を参考にした大企業の社会保障制度
- 大企業社員と「それ以外」の分断
- 「大企業型」「地元型」「残余型」の類型が成立
高度成長と「学歴」
- 三層秩序を崩壊させ社員の平等を実現した進学率の向上
- 低学歴者の職が高学歴者によって代替される「学歴代替」「代替雇用」
- 高卒者・大卒者が増え従来の階層を超えた仕事の奪い合いが発生
- 高度成長の終了で明らかになった「日本型雇用の構造的弱点」
- 学歴よりも「社内のがんばり」を評価する「社員の平等」の定着
「一億総中流」から「新たな二重構造」へ
- 大企業社員と「それ以外」への二極化と、地域社会の空洞化
- 現場労働者までを査定対象にする日本企業の「階層差別なき平等な能力主義」
- 長期雇用・年功賃金を続けるための人事考課による厳選・出向・非正規雇用
- 大企業・中小企業という二重構造に加えて、正規・非正規という新たな二重構造の発生
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