21世紀の東南アジア諸国において、民衆の支持を得て選挙によって政権を掌握した非常に強権的な統治を行う政治指導者の比較検証をコンセプトにした本。タイのタクシン、フィリピンのドゥテルテ、マレーシアのナジブ、インドネシアのジョコが登場します。ドゥテルテと小泉純一郎は似ているなぁと思いました。


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この本を読むとわかること
総論:東南アジアにおける新しい強権政治の登場
- 独立から冷戦期においてアメリカの軍事援助と経済支援に支えられて樹立された東南アジアの反共独裁政権
- 「開発独裁」として国民の政治的・市民的自由を制限した軍事独裁政権・一党独裁政権
- 1990年後から開発独裁政権が順次終焉を迎えた要因
- 国際社会の新潮流・国内政治社会の変容・国内経済社会の新しい現象
- 「欠陥のある民主主義」「混合政治体制」と呼ばれる東南アジア諸国の政治的特徴
- タイ:王室の権威を背景に軍人・文官によるエリート層が権力を掌握
- インドネシア:独立の中心人物スカルノの独裁と軍閥スハルトによるクーデター
- マレーシア:英国からの独立とマレー人の地位向上という政治課題
- フィリピン:スペイン・アメリカが残した「エリートの民主主義」
- 東南アジア諸国の有権者はなぜ強権的な指導者を選ぶのかという疑問
タイ:タクシンはなぜ恐れられ続けられるのか
- 2006年の軍事クーデターで失脚したタクシンが多くのタイ人から求められ、恐れられる理由
- 国王を頂点とした伝統的エリートによる統治システム
- 1997年の憲法改正がもたらした①首相の大統領化・②政党の重要性増大・③政治の司法化
- ①②で政権を樹立し、③で崩壊したタクシン政権
- 司法による取り締まり・マスメディアによる攻撃・国王のお言葉に苦しめられながらも政権を樹立したタクシン第一期
- 2005年に総選挙で大勝利を収めたタクシン第二期
- 国内の分断の顕在化と政権に対するネガティブキャンペーン
- 社会運動の弾圧や言論統制・強権発動
- 総選挙無効判決に始まる裁判所・国王・軍の政治介入
- 2006年のクーデターと軍事暫定政権の樹立
- 憲法裁判所・最高裁判所の政治介入による「政治の司法化」
- 逆風の中、総選挙を制したタクシン派の政党
- かつてのような圧勝ではなく、野党との連立政権
- 反撃のため、上院の完全民選化に向けた憲法改正に着手
- タクシン派・反タクシン派の対立が政策重視から感情重視になったことで泥沼化
- 政党が自ら大衆デモを扇動したという特殊性
- タクシンの功罪二面性
- 従来の政府がやり遂げられなかった改革を次々行った優秀な行政官
- 政治的・社会的多様性の排除による国民の分断
フィリピン:国家を盗った「義賊」
- 出稼ぎによる所得上昇・ネットの普及によって崩壊したエリートによる貧困層の支配
- ダバオ市長として麻薬・犯罪・汚職を「規律」によって撲滅したドゥテルテの政治手腕
- 世論調査最下位から大統領選に当選
- 腐敗した政治・社会を再生させたいという民意の後押し
- 道徳に訴える貧困対策、道徳と殺人の共犯性
- 警察官による犯人射殺の正当化
- 悪徳警官による過度な取り締まり
マレーシア:ナジブはなぜ失脚しないのか(現在は失脚)
- 世界を駆け回ったワン・マレーシア開発公社のスキャンダル
- ナジブ首相の個人口座に流れ込んだ840億円
- マハティール元首相も登場した大規模デモ・反ナジブ運動
- 首相になるために生まれた男、ナジブ・ラザク
- 第2代首相の息子であり、第3代首相の甥
- 明確な政敵を作らない慎重さと政局を読む力で首相就任
- 決して高くはなかった国民からの支持
- 「改革」に邁進した第一期と、その「反動」に苦しんだ第二期
- ブミプトラ政策の転換と経済成長を促進するための自由化
- マレー人の支持は得られたものの、華人からの支持の低迷
- 改革の反動に対してブミプトラ支援策を導入
- ワン・マレーシア開発公社のスキャンダルに対して人事権の大ナタで対抗
- 首相に権限が集中するマレーシア政治ならではの現象
- 与党UMNOがマレーシアを代表する多くの大企業を所有していたという特殊性
- 政府関連企業に強い影響力を持つ財務大臣をナジブが兼務し資金・権力を掌握
インドネシア:庶民派大統領ジョコ・ウィドドの「強権」
- 零細企業の経営者から、直接選挙で市長・知事・大統領まで歴任
- 既得権益層・ムスリムからの支持を集めた候補者を非ムスリム層からの支持で撃破
- これまでの政治家ではない「アウトサイダー」に期待した有権者
- 脆弱な政治基盤に加え、リーダーシップとイスラム的イメージの欠如という課題
- 様々な専門家を閣僚に迎え「働く内閣」として船出
- パフォーマンスの出ない閣僚は遠慮なく解任
- ドゥテルテを真似た「強さ」の演出
- イスラム運動に対する硬軟織り交ぜた対応と政権安定のキープ
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