人体に害をなす”毒”について、総合的かつ科学的に知りたい!という奇特な方にはドンピシャな1冊(難しい分子式などを読み飛ばせば素人でも概念の理解は可能です)。

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本書では有機物の化学変化を理解するための前段として、有機化学の基礎が丁寧に解説されているのですが、高校で化学を学んだのが20年近く前(もうそんな昔かと書いていて凹む)になる文系の身としてはついていくだけで精いっぱいなのです(おそらく理系の人は余裕なのでしょう)。ただ、分子の一部が水酸基やカルボキシル基などの官能基に置き換わるだけで毒性を持つというのは何とも不思議なのです。
有機化学の基礎に続いて、体内に吸収されやすい毒(主に脂溶性)や中毒・解毒の仕組みなどが詳しく解説されています。このあたりを読むと、認可されている合成着色料が体にほぼ無害である理由などが理解できます。
他にもマーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸やアナフィラキシーショックのようなアレルギー症状が紹介されています。
内容的にかなりマニアックかつニッチですが、素人が読んでもそれなりに楽しめました。
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”毒”の総合辞典
毒には、フグ毒や毒キノコのような自然毒・化学薬品や農薬などの合成毒・鉛や水銀などの無機毒・放射線のようなその他の毒の4種類があるそうです。自然毒
人間の体は概ね炭素・窒素・酸素で構成されており、人体を構成する有機物に作用する有機物の毒が多いそうです。ざっくり言うと、食べ物などで摂取した有機物が化学変化によって人体を構成する有機物に悪さをする物質に変化し、人体に害をなすということです。本書では有機物の化学変化を理解するための前段として、有機化学の基礎が丁寧に解説されているのですが、高校で化学を学んだのが20年近く前(もうそんな昔かと書いていて凹む)になる文系の身としてはついていくだけで精いっぱいなのです(おそらく理系の人は余裕なのでしょう)。ただ、分子の一部が水酸基やカルボキシル基などの官能基に置き換わるだけで毒性を持つというのは何とも不思議なのです。
有機化学の基礎に続いて、体内に吸収されやすい毒(主に脂溶性)や中毒・解毒の仕組みなどが詳しく解説されています。このあたりを読むと、認可されている合成着色料が体にほぼ無害である理由などが理解できます。
合成毒
化学薬品や農薬など人工的に合成された物質で人体に害をなすものが合成毒です。農薬に含まれる細胞にダメージを与えるための物質が分かりやすい例です。他にも体内にある解毒用の酵素で解毒できない化合物や、異物を排除する白血球の活性酸素による攻撃が効かない化合物も合成毒となります。ざっくり言うと、細胞を傷つけるために作られた化合物や人体の解毒システムが想定してない化合物なのです。
無機毒
水俣病やイタイイタイ病などの公害の原因となった重金属を中心とする物質たちです。生命維持活動に必要な化学反応を邪魔したり、特定の臓器に濃縮・蓄積されることで人体に害をなします。例えば鉛は、血中で酸素を運ぶヘモグロビンの主成分であるヘムの組成を妨げることで人体に害をなします。また、メチル水銀は臍帯を通り抜け胎児に神経障害をもたらすと言われています。メチル水銀は貝や微生物が水中の水銀イオンを解毒した際の副産物と考えられており、大型の魚やクジラでは生物濃縮により海水の1万倍の濃度となるのだそうです。妊婦さんが大型の魚をなるべく摂取しないようにと言われているのはこのためです。その他の毒
主に放射線です。放射線はがんを誘発するので、がん化のプロセスについても紹介されています。がん化するには、遺伝子に変化を起こさせる”イニシエーション”・変異した細胞を増殖させる”プロモーション”・転移性や浸潤性が強化された”プログレッション”の3段階が必要だそうです。人体にはがん化を防ぐための免疫系が備わっており、多少の変異細胞はやっつけたり自然崩壊させる(アポトーシス)のですが、免疫系自体が異常をきたすとがんになりやすくなるのだそうです。他にもマーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸やアナフィラキシーショックのようなアレルギー症状が紹介されています。
内容的にかなりマニアックかつニッチですが、素人が読んでもそれなりに楽しめました。
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