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『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』青野 慶久 ☆5

サイボウズの青野さんによる働き方論。今のキャリアに悶々としている方には良い刺激になること請け合いです。

会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。
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キャリア・働き方には大きく分けて”直線型””スパイラル型”の2種類があると聞いたことがあります。”直線型”とは1つの会社(ないし1つの業界)でキャリアアップしていくモデルであるのに対し、”スパイラル型”とは会社・業界に縛られず時には無職の期間もはさみながらキャリアアップしていくモデルだったと記憶しています。

終身雇用や年功序列に象徴される日本型の働き方は”直線型”の最たる例であり、以前と比べ転職や企業のハードルが下がってきているものの、日本の多くの労働者は”直線型”に分類されます。一方、シリコンバレーに代表されるスタートアップの多いアメリカは”直線型”と”スパイラル型”が半々ずつくらいだそうです。

ここからは持論ですが、”ある国における行動規範はその国の成功体験に依存する”と思っています。日本における成功体験とは、高度成長期でしょう。安い人件費と、カイゼン活動により高度に効率化された生産プロセスによる加工貿易で敗戦国とは思えない驚異的なスピードで成長しました。このような経済環境下では、雇用は維持され、働いた分だけ給料が増える(製造業主体なので生産量を伸ばすほど売上も伸びる)ので、1つの会社でキャリアを積み上げた方が個人・会社双方にとってプラスになります。そのため、日本では”直線型”がモデルケースとして根付いたのだと思っています。

一方、日本の高度成長期におけるアメリカはすでに成熟国であり、自動車産業(Ford・GM等)や電機産業(GE等)のように台頭する日本企業と対抗するために生産性向上に注力した産業もありましたが、世界のトップランナーで居続けるためには人件費ベースの製造競争では限界がありました。そのため、アメリカの場合は従来品で勝負するのではなく、新たなイノベーションで勝負するというのがセオリーになったのではないかと思っています。単なるガラス製造から、エジソンの電球を作り、耐熱ガラスを発明し、主力事業をガラス作りから光ファイバーにシフトしたりと自社を定期的にReinventionしていったCoring(ケーススタディの常連)や、デリバティブなどの高度な金融商品を生み出してきた金融業界、もちろん有名なシリコンバレーのスタートアップなど枚挙に暇がありません。イノベーションは”既存のものの新しい組み合わせ”とも言われており、会社・業界をまたがった人材交流が必要となります。そのため、”直線型”に加えて”スパイラル型”がキャリアモデルとして根付いていったのだろうと思っています。

このように、働き方のモデルが形成されてきた歴史的背景が違っており、一概にどちらが劣っていてどちらが優れているとは言えないと思うのですが、”直線型”主流の日本ではかつてアメリカが経験したような限界がいずれ来るはずです。シャープ・東芝のようなかつて世界を席巻した半導体・電気産業が、安い人件費・効率化された製造プロセスを武器にする中韓台勢に押し切られているのはその象徴と言えるでしょう。歴史は繰り返すのです。近年日本で企業・転職が一般的になってきた背景は、”直線型”の限界を感じた感度の高い優秀な人たちが”スパイラル型”にシフトしようとしているからじゃないかと思っています。

この本の紹介

”はじめに”に書かれている本書のコンセプトはこんな感じです。
会社が働く私たちを不幸にしている問題について掘り下げてみることにしました。(中略)問題の構造から考え、そして自分の楽しい人生を取り戻すためのヒントをまとめました。
以降、青野さんの深い分析が展開されるのですが、端的に言うと本書が取り上げているのは”直線型キャリア観の限界”です。
  • 今の会社に不満があり変えたいと思っていても、会社を変える権力を手にするには相応の期間我慢をしなければならない。
  • 我慢し続けて権力を得たとしても個人としての全盛期を過ぎており、考え方は時代遅れで、若者の足を引っ張ることになる。
  • 年功序列を採用している会社の多くは勤続年数が長くなるほど退職金が跳ね上がる仕組みになっており、我慢させるための仕組みが色々揃っている。早く抜けると損をする仕組みになっており、なかなか抜けられない。
など、”直線型”の限界・弊害が多く指摘されています。とても面白く、個人的にはかなり響いたのです。
何を隠そう僕も”直線型”で仕事をしてきたので、自分の市場価値がわかっていなかったのです。とりあえず転職エージェントに登録してみて自分の価値とやらを見極めてみようと思います。

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